☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆・イラスト・コメント返信:水澤聖子☆彡
栄養や運動についてお話しする際に必ず出てくるエネルギーという言葉ですが、そもそもエネルギーって体内でどのように作られているのだろう?と、ふと気になりました。
細胞レベルで行われていることで目に見えないので、イメージや理解がしづらいですよね。
日々の活動の原動力になるエネルギーとは、実際にどのように作られているのでしょうか。
細胞、ミトコンドリアについて今日は書いていきたいと思います。
1、細胞とは
まず、人間の体は、細かい細かい細胞の並びでできています。肌も、内臓も、筋肉も。
もっというと人間の体のみならず、野菜などの食材や植物もそう。
料理本などに書いてある「繊維に沿って切りましょう」=「細胞の並んでいる向きに沿って切りましょう」ということなのです。
1つ1つの小さな細胞は膜(細胞膜)や壁(細胞壁)で守られており、その中には様ざまな器官が詰め込まれています。
核、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体…等々、普段の生活ではなかなか聞かないような言葉ばかり。そしてそれぞれが重要な役割を担っています。
エネルギーに関係があるのは特に「ミトコンドリア」という器官。これについてもう少し詳しくご説明していきましょう。
2、ミトコンドリアとは
ミトコンドリアは1つの細胞の中に約300~400個存在しています。
全身の細胞は約60兆個と言われていますので、…途方もない数字になりますね。
肝臓や脳、筋肉など代謝が活発に行われる細胞には特に多くのミトコンドリアが存在していることがわかっています。体内のミトコンドリアを全て合わせると、体重の約10%にもなると言われていますよ。
このミトコンドリアが担っている役割をあげてみましょう。
①エネルギー分子の生成
②代謝
③カルシウムや鉄の濃度調整
④ターンオーバー
等
この中でも最も重要なのが①のエネルギー分子の生成です。ミトコンドリア以外でもエネルギーを作っている部分はあるのですが、各細胞のミトコンドリアが作っているエネルギー量の割合がとても高いのです。
3、ミトコンドリアで作られるエネルギー
エネルギー生成→詳しくは「アデノシン三リン酸(ATP)」という物質を作ることを指します。
糖質・脂質・タンパク質を徐々に徐々に分解し、このATPと水を作ります。
解糖系→TCA回路→電子伝達系というシステムを経て、糖質や脂質・タンパク質は分解されエネルギーや水となります。
とても複雑なシステムなのですが、私たちの食べたものはこのシステムを通って代謝されます。
このうち、ミトコンドリアの中で行われるのがTCA回路→電子伝達系の部分です。
40~50代になってくるとこのミトコンドリアの活動量が減り、エネルギーを作り出す量が減ってしまいます。そのため疲れやすくなったり、代謝が悪くなり太りやすくなったと感じると言われています。
4、ミトコンドリアを活発に動かすには!?
ではミトコンドリアを増やせば良いのでは?と思うでしょうが、その通りです。
ミトコンドリアを増やす、または活発に働かせようとする生活習慣は「ミトコンドリア療法」などと呼ばれ、近年注目されています。
①増やす
この記事の最初の方で、『肝臓や脳、筋肉など代謝が活発に行われる細胞には特に多くのミトコンドリアが存在している』と書きました。肝臓や脳は努力で増やせないとしても、筋肉量は増やせますよね。
つまり適度な運動で全身の筋肉量を保持すれば、ミトコンドリアの量も自然と増やせるのです。
②活性化
肝臓は、細胞は増やせなくても健康に保つことはできます。
詳しくは別の記事で書きますが、肝臓は脂質を分解するための胆汁生成やアルコールの代謝等を行います。休肝日を設けたり、脂質控えめな食事をとり、肝臓を酷使しないことは、ミトコンドリアを活発に働かせることに繋がるのです。
ミトコンドリアでの代謝も体内時計によって動かされており、就寝前よりも日中に活発に行われます。体内時計などの詳しい説明はこちらの記事へ。
つまり寝る直前に食べてしまうと、ミトコンドリアが本来働きにくい時間なので、食べたものをエネルギーとして作り替える量が減ってしまいます。ミトコンドリアでの代謝をうまく促すには、代謝しやすい時間などといったタイミングを知り、それに合わせた生活をすることもとても大切ですね。
エネルギーが足りなくなると、防衛反応として『ミトコンドリアを動かしてたくさんATPを作ろう!』となるわけですから、適度な空腹感を持ち体に飢餓と錯覚させることや、もちろん運動も効果的です。
5、まとめ
いかがでしたでしょうか。
普段あまり考えない細胞レベルでのお話になり少し難しい内容となってしまいました。しかし結局は、「ミトコンドリアを増やす・活発にする=規則正しい食事習慣」ということになるんだなと、私自身も書きながら改めて感じました。
仕組みや理論を知っておくことは、意味がわからないままに行動するよりも効果が上がると思っています。なんとなく休肝日、なんとなく寝る前は食べない、ではなく、なぜそうした方が良いのか?という理由が、今日書いたミトコンドリアの活動にもあるのではないでしょうか?