20、歯の健康を見直しましょう!

20、歯の健康を見直しましょう!

☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆・イラスト・コメント返信:水澤聖子☆彡

みなさまこんにちは!
一気に気温が下がり、体調を崩してしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。体をあっためるものが恋しくなる季節ですね。東京は特に気温の変化が激しいですが、寒暖差で疲れが出ないように、食事から体を整えていきましょうね。

さて今日は、タイトル通り「歯の健康」について書いていきたいと思います。

8020運動というのがあるように、歯は体全体の健康・栄養状態と密接に繋がっています。でもなぜそんなに自分の歯が大事と言われるのでしょう?詳しくご説明していきます!

自分の歯を維持しましょう

20、歯の健康を見直しましょう!

マスク生活が始まった後から、この機会にと矯正をしたりホワイトニングをしたりという方が増えましたね。薬局へ行っても、自宅で手軽にできる歯間ケアやホワイトニングのツールが増えていたり、口腔内のケアに注目が集まっているように思います。

冒頭でも書きましたが、自分の歯を維持することは健康にもつながります。

8020運動とは?

8020(ハチマルニイマル)運動という運動があるのをご存知でしょうか?

この運動は平成元年から、当時の厚生省と日本歯科医師会が推進を始めている「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動のことです。

高齢になっても楽しく健康な生活を送っていくことを目標とした時に、生活と切っても切れない食事の時間を有意義にすることは、とても大切であると考えられています。

そもそも成人の歯は28本(親知らず含めると32本)あるのですが、20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。食事時間を有意義にするために、自分の歯で食事を摂ることは欠かせない要素の1つなのです。

8020の達成率

歯の健康については「歯科疾患実態調査」という調査をもとに、様々な対処・取り組みがされています。

8020運動が始まった平成元年当初は、80歳以上で20本以上歯がある人の割合はたった7%。平均して4本程度しか歯が残っていないという実情がありました。

しかし8020運動が世間に認知され、歯の健康に意識が向くようになったことで、平成19年には25%、平成29年には何と51.2%まで、その残存率は増加しました。

もちろんこの背景には、様々な技術の発達(医療技術や歯ブラシなどツールの精度向上)や認知度、経済状況の変化等もあったでしょう。

しかし「みんなが歯の健康を意識し出した、認知度が上がった」ということが1番の要因なのではないかと考えています。

https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/index.html

20、歯の健康を見直しましょう!

口腔内の病気

歯周病・虫歯・口臭等のよく聞く口腔内に関連する不健康状態は、食べ物の磨き残しや噛み合わせの悪さなどが要因となって引き起こされることが多いです。

特に最初に挙げた歯周病は、40代以上の日本人の約8割が罹患していると言われていて、歯を失う原因の第1位となっています。

歯そのものではなく、歯を支える歯茎の中の組織が犯されていく病気なので、進行すると歯が抜けてしまうのです。

予防するには普段からの丁寧な歯磨きはもちろん、歯間ブラシ等の補助道具を使うことも必要。歯科での定期的な点検や、磨き方指導を受けるのも必要ですね。

歯の健康と栄養状態の関連

歯の残存がとても大切で、国をあげて運動に取り組んでいるということはわかっていただけたかと思います。

では歯の健康と栄養状態はどう関連してくるのでしょう。

「“健康意識!” “病気を防ぐ!”そのための行動をしようと考えた時に、食に関してできること・やることとして思いつくのは何でしょうか?」と問うと、1番多く返ってくる答えは何でしょうか。

私はおそらく、「食事の内容を考える」ではないかと思います。

この BLOGの中でも“食事バランスが大切“ とさんざん書かせていただいていますし、もちろんとっても大切なことです。

しかしそれと同じくらい、口内環境というのは健康を考える上で大事な要素の1つになってくるのです。詳しく見ていきましょう。

道具とおいしさ

少し話は変わりますが、想像してみてください。「プラスチックトレーに載ったスーパーの巻き寿司を、嫌いな上司と会社のデスクで食べるランチ」と「お気に入りのランチBOXに移したスーパーの巻き寿司を、ピクニックで仲の良い友達と食べるランチ」どちらがおいしそうですか?笑

例えが少々極端すぎましたが、何が言いたいかというと、同じものを食べていても環境や気分によって私たちの味覚は左右されるということ。目、鼻、皮膚から感じ取る味はとても大きい割合を占めています。

また、どんなグラスで飲む(薄口グラスなどが恰好の良い例)のか、どんなカトラリーで食べるのか、はたまたどんな切れ味の包丁で調理されたのか…によって、味は本当に変わってくるのです。

これらが緻密に計算されているため、レストランや旅館での食事は格別に美味しいと感じるのです。

それと似たようなことが口内環境にも言えます。

自分の歯でしっかりと噛んで食べるというだけで、おいしさの評価は大きく上がります。どんな食感で、どんな歯触りなのか…それは歯がない状態では決して感じられないことなのです。

噛むことでの効果

“噛む”という行動は、実は様々な、体に対する影響を持っています。

1、噛み砕く

食べ物を食べるときにそのままの大きさでは飲み込むことができませんよね。何を当たり前のことを書いてるんだと思われるかもしれませんが笑、実は結構大切なこと。かたい食べ物や繊維質のもの、大きい状態のものは胃に入ってからの消化にとても負担がかかります

消化管の術後の栄養指導では、食べる内容ももちろんですが、まず1番に「よく噛むこと」を指導していました。口の中で形がなくなるくらいしっかり噛み砕いてあげれば、体に入ってから細かくする負担が減ります。

術後でなくても、消化に時間と負担がかかっていると、内臓はとても疲れます。消化したと思ったら次の食事時間がやってきて…と休まる暇がありません。これが体全体のだるさとして現れてくることもあります。

なので、“歯がしっかりと揃っていて噛み砕くことができる”というのはとても大切なことなのです。

2、血糖値の乱降下を防ぐ

以前の記事で一度書きましたが、噛むことは血糖値の変化にも影響を与えます

野菜を食べるのではなくて野菜ジュースで補っても良いか?というよく聞く問題です。ビタミンやミネラルを摂るだけの目的であれば、OKなのかもしれませんが、噛んで食べることの効果を考えるとNGです。

噛むことによって、今から食べ物が胃に入りますよ〜という指令が脳に伝わる。→膵臓がインスリンを出す準備をする。→食べ物が実際に入ってきてこなされ、小腸に届くと血糖値が上がり始める。→インスリンの準備ができているので血糖値の急上昇が防げる。

噛まないということは、最初の段階の指令が飛ばされるので、準備が追いついていないうちに血糖値が上がり始める。→間に合わない、血糖値は急上昇。→インスリンが足りてないかも?と勘違いし、さらにインスリンを分泌。→必要量以上にインスリンが出ているので、血糖値が下がりすぎる。

20、歯の健康を見直しましょう!

噛んでいる時間は体の消化の準備時間。そう思うと、ゆっくり噛んで食べることのメリットがイメージしていただけるのではと思います。

歯の残数と健康状態についての研究

歯の残数と健康状態については様々な研究がされています。

歯が多く残っている人や義歯を使用している人 と そうでない人 との比較試験では、転倒リスクが2.5倍、認知症リスクが1.9倍などの結果も発表されています。

また死亡率や、心血管疾患、糖尿病のリスクも、歯が少なくなるほど高くなることがわかっています。

食べられるということは栄養状態も良くなる、筋肉量なども保持される。そこからこういった結果にまで繋がるとは、正直驚きです。

https://www.jda.or.jp/park/relation/teethlife.html#3

https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2015/004283.php

差し歯、入れ歯、セラミック歯について

20、歯の健康を見直しましょう!

最後に、歯が揃っていることが大事なのはわかったけど、自分の歯じゃないとダメなのか?という問いが出そうなので、ご説明しておきます。

答えはNOです。つまり入れ歯やセラミックでもOK。ただ、ご自身に合っていないとダメです。

入れ歯をしているけど、合っていなくて痛い。はずれそうできちんと噛めない。こういった状態だと本来の目的を果たせないため、点検をしてキチンと合った状態にすることが必要です。

先ほどの項目でも書いた病気のリスクは、入れ歯でも20本ある方がない場合よりも下がるとされています。

おわりに

ある程度の年齢までは歯がある状態が当たり前で、病気等にも気付きにくいからこそ、歯医者さんなどでのメンテナンスは後回しにしている人も多いのではないかと思います。

しかし気づいた時には歯周病などの病気が進行していて歯がぐらつく、抜け始めるとなると遅いです。普段から磨き方指導やメンテナンスを受け、歯を大事にしておくことが大切です。

現在健康な状態で歯がしっかりある方は残していけるように、病気などが発覚した場合は早めの治療をし、80歳で20本以上の歯を目指していきましょう!

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