6腸内細菌の重要性〜腸活・腸内細菌叢…結局どういうこと?〜

腸内細菌の重要性〜腸活・腸内細菌叢…結局どういうこと?〜1

☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆・イラスト・コメント返信:水澤聖子☆彡

健康関連の番組や雑誌などで常に関心の高い腸内細菌。最近は若い女性の間でも、美と関連があるとして高い注目を集めていますね。

なんとなく腸に良さそうなドリンクを飲んでみたり、ビフィズス菌・乳酸菌〇〇億個などと書いている商品を選んでみたり、と、気にかけていらっしゃる方も多いと思いますが、詳しくは分からないという方も多いのではないでしょうか。

今日は改めて、腸内細菌についてお勉強していただけたらと思います。

腸内細菌の重要性〜腸活・腸内細菌叢…結局どういうこと?〜1

腸内細菌とは

人間の腸の中には、500種類以上・100兆個以上の細菌が住み着いていると言われています。腸内細菌の多くは大腸に住み、私たちの健康状態を左右する重要な役割を担っています。

その役割の1つが、食べ物から栄養分を吸収した後の残りカスを分解し、便を作るといった活動です。

人間は生命維持のために、外界から入り込んだ菌やウイルス(例えばインフルエンザウイルスなど)と戦い排除する、免疫システムという機能を持っています。それなのに腸の中には100兆個以上もの菌がいる…というのはなんだか変な話ですよね。

腸内細菌は体になんらかの影響を与える働きをするため、腸に住み着くことを認められた菌たちということなのです。腸内細菌がいなければ私たちは生きていけないし、また腸内細菌にとっても人間の腸の中というのは活発に活動ができる絶好の住処なのです。

腸内細菌は大腸の中でフローラ(花畑の意味)のように似たもの同士が集まっており、これを腸内フローラ(腸内細菌叢・ちょうないさいきんそう)と呼んでいます。

「善玉菌」と「悪玉菌」

腸内細菌には「善玉菌」と「悪玉菌」という2種類、そして「日和見菌」という状況次第で善悪どちらにもなりうる菌の3種類があります。

善玉菌は文字通り、人に良い影響を与える菌。例えば乳酸菌や、乳酸菌の代表核であるビフィズス菌がこれにあたり、でんぷんや食物繊維をエサにして活動します。これらの菌が活発に活動できていれば、消化・吸収が良くなり、体は健康に保たれます。

悪玉菌はタンパク質や脂質をエサとし、腸内で腐敗を引き起こします。ウェルシュ菌や大腸菌などがこれにあたり、悪玉菌が多いと腸内環境が悪化します。発がん物質を生成することもあります。

このように聞くと悪玉菌は「悪いヤツ」というイメージを強く持たれ、悪玉菌を追い出そう・減らそうと、ビフィズス菌をたくさん摂取したくなりますよね。しかし腸内細菌は、個々がどういう働きをするかということよりも、全体バランスの方が遥かに大切なのです。

悪玉菌がただ悪いヤツなら、共存ができるように体は作られていないはず。悪玉菌がいることで、他の病原体に負けない体ができているというのもまた事実です。

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腸内環境が良いバランスで保たれている時は、悪玉菌は悪さをしません。

バランスが乱れ善玉菌が活発に活動できなくなった時に、悪玉菌は悪さを始めるのです。

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腸活って何をすればいいの?

「腸活」とは、上でご説明したような腸内環境を整える行動のことです。腸内環境が乱れる原因は、食事・ストレス・疲労など様々ですが、中でも大きく影響を与えるのはやはり食事です。

善玉菌→食物繊維やでんぷんを好む

悪玉菌→タンパク質や脂質を好む

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すなわち、食物繊維が少なく高タンパク・高脂質な欧米型食生活(ファストフードや肉中心の食事)を続けていると、腸内環境は悪い方向へ傾きやすいと言えます。

最近ではサプリメントなどもたくさん出ていますが、善玉菌を増やす活動をするよりも、善玉菌の「エサを増やす」ことを優先とした方が効果的です。

具体的には、野菜・大豆製品・発酵食品を積極的に摂るようにしましょう。

便で腸の状態がわかる!便をこまめにチェックしましょう。

今日は便のにおいがキツいな、色が悪いな、反対に今日は調子が良いな。と感じたことは誰にでもあるはず。

これらは全て、腸内環境の状態によります。

言い換えると、便を観察すれば、腸内の状態がわかるということですね。

便の状態を評価する指標として、ブリストルスケールというものがあります。

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善玉菌が活発に働き良い状態の腸内環境で作られた便は、明るい茶色で柔らかく、ある程度の量があります。よく「バナナのような」などの形容がされますね。食べたものが1日以内に排出されている場合が多いです。

反対に悪玉菌が悪さをしているバランスの乱れた腸内環境の時は、便の色は黒っぽい茶色で硬く、悪臭がすることが多いです。これらは2−3日腸内に溜まったものが排出されている場合もあります。下痢便の場合も、もちろん腸内環境は乱れていると言えます。

簡単に、目視で腸内の状態を把握できるバロメーターが便。確認をする癖づけをして、良い環境へと導く食事を意識してみてください♪

乳酸菌の6つのすごい働き!

ビフィズス菌など乳酸菌は、食べ物の残りカスを分解・発酵し、有機酸と呼ばれる物質を作っています。有機酸とは例えば、酢酸・乳酸・プロピオン酸など。

これらの有機酸は腸内環境を正常に保ち、それによって免疫力が高まり、病気を防ぐことに役立ちます。

それ以外にも、乳酸菌が及ぼす良い影響はいくつかあります。

①便通を良くし、悪玉菌の繁殖を防ぐ

②免疫力を高める

→便通が良くない状態は、悪玉菌が優位となっている状態であり、また悪玉菌を増やす悪循環にもなります。上で書きましたが、善玉菌が優位であれば便通・便の状態は良くなり、免疫力UPに繋がります。

③がん予防

→悪玉菌は発がん物質を作り出すことがあるとされています。(時には善玉菌が作り出してしまうこともありますが…)乳酸菌を活発に働かせることで悪玉菌の増殖が抑えられ、結果がん予防となるわけです。

④アレルギー反応の抑制

⑤ビタミン・アミノ酸・エネルギーの産生

→乳酸菌はビタミンB群やビタミンKを産生します。また剥がれ落ちた腸管を分解し、アミノ酸を産生します。さらに有機酸や栄養素の一部は腸から再度吸収され、体を動かすエネルギーとなっています。

⑥ミネラルの吸収

→ミネラルは吸収されにくいとされますが、善玉菌が作り出す有機酸と結合することで吸収率がUPします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

便の状態を確認しましょう、腸活をしましょう、ヨーグルトを食べましょうなどといった言葉を様々なところで見たり聞いたりしますが、それにはここで書いたような大切な理由があるからです。

乳酸菌飲料やヨーグルトなどで善玉菌を外から入れることも大事ですが、それよりもまず、菌が元気に活動できる環境を作ってあげる(=食事を整える)ことの方が大事なように思います。

ぜひ取り組んでみてくださいね。

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