3、食事のバランスと消化時間

いかなご、釘煮、瀬戸内


☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆者・コメント返信:水澤聖子☆彡

みなさまこんにちは。

すっかり暖かくなり、日中は活動しているとうっすら汗ばむ日も出てきました。

3月のことですが、神戸に住む祖母からいかなごの釘煮が届きました。私の出身は神戸の西の端、明石海峡大橋を臨む場所です。そのため幼少の頃から瀬戸内のお魚を食べて育ちました。

祖母のいかなごの釘煮を食べると、「あ~春がきたなあ」と感じます。祖母が元気なうちに、あの味付けを受け継いでおかなければ。

健康・栄養を考える(3)

 

いつしかの食卓です。左端にちょこんと、釘煮がいます(笑)

食事で四季を感じられるというのは、とても豊かなこと。旬の食材は特に美味しく、栄養価も高く良いこと尽くしです。

 

さて本日は、前回の記事の続きをご説明していきますね。

自分の適正量を知るための流れ、

  1. 適正体重を知る
  2. 必要エネルギー量を知る
  3. 適正なバランスを知る
  4. 健康状態を考慮して調整する
  5. 食事内容に落とし込む

のうちの、3.適正なバランスを知る からです。

適正体重、必要エネルギー量をもとに、バランスを決めていく

3.適正なバランスを知る

少し前までの栄養学は、カロリーが最重要視されてきました。食品表示を見るときは何キロカロリーかを確認するのみでOK、といったように。

カロリーを構成している中でも大事なのは「糖質・脂質・タンパク質」の三大栄養素と、それに「ビタミン・ミネラル」の2つを加えた五大栄養素です。

糖質制限ダイエットが話題になりだしてから、カロリーだけではなく、その中身やバランスにもやっと目が向けられるようになったように思います。(実はアメリカでは数十年前からこの動きがありました!)

そして最近では若い世代を中心に、マクロビオティックやオーガニック、腸内細菌などへの関心が高まっていると感じています。

カロリーを一生懸命確認したところで、それが全て脂質から成り立っているなら。糖質に偏っているなら? 長期間摂取すると、体に異変が出てきそうなことは容易に想像ができますよね。

なので、全体のカロリー+栄養バランスがとても大事なのです。

バランスの考え方を2つご紹介します。

①食事バランスガイド ②PFC比

 

①食事バランスガイド

まずは簡単な、農林水産省が提示している食事バランスガイドを用いる方法です。食事バランスガイドとは、「何を」「どれだけ」食べれば良いのか、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストで示したもの。

健康・栄養を考える(3)

【出典】農林水産省 食事バランスガイド

コマのイラストは2,200kcal±200kcalを示しています。「どれだけ食べるか」の部分は人によって変わりますので、確認が必要です。

【参考】適量チェック!チャート

このイラストを見るだけで、主食・副菜・主菜・乳製品・果物を摂るべき具体的な量がわかりますね。

コマの上の人のイラストは、運動をすることによってコマが周り、健康状態を安定させることができるということを表しています。

②PFC比

2つ目の方法は、より個人の摂取量に直結した方法です。

PFC比=Pタンパク質・F脂質・C炭水化物の比率のことを言います。

前の記事で求めた個人の必要エネルギー量を、炭水化物・脂質・タンパク質で何キロカロリーずつ取るか決めます。

一般的な目安は、

炭水化物:脂質:タンパク質=50~65%:20~30%:13~20%

【参考】日本人の食事摂取基準2020 

筋トレ中でタンパク質を少し多めに取りたい、疾患で脂質を抑えないといけない、などの場合は割合が変わってきますのでご注意を。

 

(例)2,000kcalが1日摂取量となる人の場合

  • 炭水化物=2,000 × 50~65% = 1,000~1,300kcal
  • 脂質=2,000 × 20~30% = 400~600kcal
  • タンパク質=2,000 × 13~20% = 260~400kcal

この割合を見て、どう思いますか?意外と糖質から摂るカロリーが多いと思いませんか。

 

「糖質制限、脂質制限、タンパク質をしっかり取りましょう」などとよく聞きますが、実は理想的なバランスは真逆。炭水化物はしっかりと取らなければならない、メインのエネルギー源なのです。

「炭水化物(ご飯やパン)をたくさん食べると太るから控えて、その代わりにお腹を満たすために肉や魚・卵を多くとっている」ということはありませんか?

このような食事になっている方は少し注意が必要。

なぜなら、タンパク質が多くなることで、調理に伴う油や塩分を多くとってしまう可能性があるから。素材そのものが持っている油というのもありますしね。

 

消化時間の問題も。

健康・栄養を考える(3)

胃に入った食べ物は、消化された後に小腸へ送られます。この時胃の中に止まっている時間のことを「胃内滞留(停滞)時間」と言います。「消化時間」などと呼ばれていますね。

そのため「食べてすぐに寝ちゃダメ」などと言われるのですが、この胃内滞留時間というのは食材によって、また食べる量によっても変わり、個人差もあります。

表にまとめてみました。

食品 時間
炭水化物 2~3時間
たんぱく質 4~5時間
脂質 7~8時間
野菜・果物など 0.5~2時間

 

揚げ物などを食べた後は腹持ちが良い、お粥などはすぐにお腹がすくといったイメージは、ここからきています。

炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスが良い食事を摂った後は、その人に見合った量であれば、通常5~6時間で空腹感を感じます。

内容が偏っていると、すぐに空腹感を感じ間食をしてしまったり、反対にお腹がすかず食事時間が乱れる原因となります。

というわけで、生活習慣病やその他特別な疾患を患っていない場合は、基本このくらいのバランスを目指すのが良いということですね。

炭水化物:脂質:タンパク質=50~65%:20~30%:13~20%

【参考】日本人の食事摂取基準2020

 

4.健康状態を考慮して調整する

生活習慣病やその他特別な疾患を患っている場合についても、少し触れておきましょう。

個人の病態や全身の状態によって細やかな調整が必要ですので、詳しくは主治医の先生や担当の管理栄養士さんにご相談くださいね。

 

糖尿病

血液の中に糖が溢れるのが原因→体に入る糖の量・質を調整する必要があります。

長期的にコントロールするには、食事から摂る糖質は上記の50~60%と同じ。摂取過剰とならないように、甘いジュースや菓子を制限するのが正しい方法です。

また、食物繊維を多く含む食材を積極的に摂り、よく噛んで食べることで、血糖値の乱降下を防ぎます。

糖質を0にしてしまうともちろん血糖値は下がります。しかし、その分過剰となった脂質やたんぱく質によって脂質異常症や高血圧を引き起こしたりすると、合併症を引き起こすこともあります。

脂質異常症

血液中の脂質のバランスが悪くなり、悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、結果的には脂質が血管壁に蓄積し、血液の流れが悪くなったり詰まったりします。

→食物繊維を多く含む食材を積極的に摂り、適度な運動をして数値を減らしましょう。

高LDLコレステロール血症:コレステロールを多く含む食品(卵黄、いか、海老等)を多量摂取していてLDLコレステロール値が上がっている場合は、控えなければなりません。

しかし家族性の場合や、閉経後の女性はLDLコレステロール値が高くなる場合がありますので、運動にも目を向けるなど別角度での対処も必要です。

高中性脂肪血症:多くの場合、カロリーオーバーが原因です。お酒の飲みすぎやお菓子の食べ過ぎはありませんか?

このような場合は、各栄養素(糖質量・タンパク質量・脂質量)に着目するのではなく、全体的な摂取カロリーがオーバーしていないかの見直しが必要です。

 

内臓の術後など

胃内滞留時間のお話をしましたが、脂質は消化に時間がかかるため、消化管の手術後は特に控えます。

最初は脂質割合10%程度が目安、そこからだんだんと体を慣らしながら30%まで増やしていきます。

最初の段階では、焼く・炒めるなど調理で使う油をカット。食材選びにも注意が必要です。(例えば、脂質の多い鶏モモ肉ではなく、ささみを選ぶなど!)

腎臓の機能低下

腎臓は老廃物を再利用するものと捨ててしまうものに仕分けをする役割を担っています。腎臓が弱ると、必要な栄養素が捨てられてしまったり、反対に仕分けができず不必要な栄養素(体の毒になる)が血液中を巡ってしまったりします。

そしてその老廃物とは、ほとんどがたんぱく質から代謝されたもの。そのため腎臓が弱ってくると、食事中のタンパク質をやや減らす必要があります。

体重・病態と照らし合わせながらたんぱく質量を決めるため、決まった割合(%)はありません。

 

このように、何か疾患がある場合は食事バランスの調整をしなければならないこともあります。しかし比率を変えることで、その分違う成分を多く摂ることになってしまったり、全体のカロリーが足りなくなったりする恐れがあります。

最初にも書きましたが、何か疾患がある場合は調整が細やかで難しくなるので、主治医や専門家に栄養相談をしながら進めてくださいね。

 

まとめ

今回は、

  1. 適正体重を知る
  2. 必要エネルギー量を知る
  3. 適正なバランスを知る
  4. 健康状態を考慮して調整する
  5. 食事内容に落とし込む

③、④についてご説明してきました。

エネルギーを合わせることも大切ですが、その内容のバランスを考えることも同じように大切です。今回はビタミン・ミネラルのことについては触れられなかったので、別の記事でご紹介しますね。

疾患がある場合は調整が必要ですが、専門家とご相談されながら行ってください。

 

次回は実際の食事量の考え方(ご飯何gなど)をご説明する予定です。

ぜひお楽しみに、お待ちください。

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