1、健康と栄養を考える

飽食の時代。

☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆者・コメント返信:水澤聖子☆彡

飽食の日本において栄養を考えるとはなんだろう?
ホリスティック健康学・栄養学の観点から

1、はじめに

この記事をお読みいただいている皆様、初めまして、水澤聖子です。私は管理栄養士として病院で栄養指導に携わり、現在は某お料理教室で講師を務めております。私のお仕事は、喋ること・伝えること。お会いする方々の食事に関するお悩み・健康に関するお悩みを伺い、正しい知識を伝える・調理技術を伝えることです。

近年、情報化社会において、栄養学の方面でも様々な情報が“誰でも・簡単に“得られるようになりました。テレビやSNS、ネットの情報などありとあらゆるものが溢れていますよね。なんでもそうですが、栄養学というのはさまざまな考え方があり、また新たな研究によってどんどんアップデートされていきます。何が正しいのか、何を信じ実践すれば良いのか、迷っておられる方がとてもとても多いなと感じています。
お話をしていて私が気づくことは、栄養というものにがんじがらめになり、食事に疲れてしまっている人が多いなということ。もっと気楽に・ふわっと、ただし長期的に継続して、食事は考えるのも食べるのも、もっともっと簡単で良いと思っています。
とはいえ、基礎知識はどうしても必要。専門的でなくて良い。ちょっとずつで良いから栄養学というものの全体像を把握できれば、取り組みやすくなるのではと考えています。

そこで記事として配信することで、少しでも皆様の疑問が解決できれば。もっと簡単でいいんだと気づいていただければ。と思うようになりました。
「考えるのに疲れちゃった」「何が体に良いのかわからない」という方にこそ読んでほしい。そんな記事配信にしていきたいと思っております。

健康について考える、栄養バランスを考えるということは、決して難しいことではないです。「気楽に・ふわっと、ただし長期的に」ぜひゆっくりと取り組んでください。

2、健康とは何か、栄養とは何か

とても大まかな問いですが、健康や栄養とはいったいなんなのでしょうか?

よく見聞きする「この〇〇は健康に良い」「この□□は栄養が豊富」という言葉。この言葉に私はいつも違和感を感じます。「〇〇は健康に良いというけれど、体のどの部分に影響するの?それさえ摂取すれば健康になれるの?」「栄養が豊富って、どんな成分が豊富なの?それは体にどう影響するの?」と考えてしまう。
大抵の場合、美肌効果や腸内環境を整える、血糖値を下げるなどさまざまな効果が期待できるという意味であり、実際にそういった研究結果を根拠にされているのも確かです。
ですが、「これを食べれば万事OK!」というプロモーション(消費者の購買意欲をあおる活動)がどうしても気になってしまいます。そしてそういった考えの方が大変多くいらっしゃることにも、危機を感じているのです。

「これを食べれば万事OK」という食品は、この世に存在しません。「万事OK」ではなく「全く食べないよりは効果が高い」が正解だと思っています。今日から少しずつ、意識を改めていきませんか?

1、健康と栄養の定義

<健康の定義>
WHOの定義では、”「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」” とされています。
【引用元】https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/

肉体的健康:病気がなく、元気な生活活動ができる状態
精神的健康:自分の感情に気づいて表現できる状態、現実的な問題解決ができる
社会的健康:社会の中で他者から認められ、良い関係を築ける状態
【引用元】https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html

<栄養の定義>
“栄養とは、生体が物質を体外から摂取し、消化し、吸収、さらに代謝することにより、生命を維持し、健全な生活を営むこと。取り入れる物質を栄養素という。“
【引用元】https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-04.pdf

健康・栄養という言葉は便利に使われやすいものですが、このように定義が存在します。そこで考えてみると、初めに書いた「この〇〇は健康に良い」「この□□は栄養が豊富」という言葉が、定義から少しずれていることに気づくでしょうか。
体の健康、心の健康、そして社会参画の3つが揃うことが「健康」であり、1つの事柄によってこれら全てを満たすことはできないし、同じように栄養も1つの食品によって栄養状態を万全にすることはできないのです。

2、健康を維持するために

では、その健康というものは、常に全て自分でコントロールしなければならないのでしょうか?答えはNOです。

実は人間の体は、多少のストレス環境(例:極端な気候、ケガや手術、現在のコロナ禍のようなウイルス・細菌感染など)に置かれても、健康を維持または回復できるようにできています。それには3つの機能が関わっています。
①ホメオスタシス
②免疫システム
③自然治癒力
これら3つの生態機能がうまく働くことで、健康が維持されます。

①ホメオスタシス
ホメオスタシスとは恒常性維持機能とも言い、外的ストレスに対応しバランスを取る機能です。
そう言うと難しく聞こえますが、例えば赤道直下のような暑い場所へいった場合は、汗をかいて体内にこもった熱を放射します。喉が渇いたら自然と水分が欲しくなります。ケーキなどを食べて血糖値が上がれば、体はインスリンを分泌し血糖値を下げようとします。これら全て、ホメオスタシスなのです。
このホメオスタシスが正常に働くことで、体は正常を保っていられるのです。

②免疫システム
免疫とは、体の中に微生物や細菌やウイルスが入り込んできたときに戦う機能のこと。この機能がないと、体は菌に蝕まれて、最悪の場合死に至ることもあります。
外敵に感染すると、体の中では免疫細胞が働き対抗措置を取ります。体の中に初めて入ってくる菌・ウイルスへの感染の場合、この対抗措置ができるまでに1週間程度かかると言われています。体は「どの菌・ウイルスに感染したことがあるか、この時はこの対抗措置!」ということを覚えているため、2回目以降の感染では対処が早くなります。(=免疫力)
昨年からのコロナウイルスの影響で、この免疫力に注目している人も多いのではないでしょうか?免疫があるかどうかを調べるのが免疫検査なのです。
そしてこのシステムを逆に利用したものがワクチン。弱めた菌やウイルスを敢えて体に入れ、体の中で免疫力をつけておくことで、本当の菌やウイルスが入ってきたときに対抗できるというわけです。

③自然治癒力
例えば転けて怪我をした時、手を切った時、放っておいても自然と治癒していくのが自然治癒力と呼ばれる力です。当たり前のような話ですが、この機能がないと体は傷だらけになったり、体の中で血管が破けたときに失血死したりします。

このように人間の体は、ある程度の外的ストレスに晒されても生きていけるようにできています。①ホメオスタシス②免疫システム③自然治癒力 これら3つの生態機能が働き、健康が維持されています。これらをうまく働かせるには、バランスの整った食事、十分な休養、適度な運動、心の健康を意識し、毎日の生活を送ることが重要です。

【参考】ホリスティック健康学・ホリスティック栄養学入門

3、栄養状態を良くするために

ある程度のストレスであれば生態機能に守られると書きましたが、その“ある程度“の限度を守るのは、やはり自分自身。健康において、自分でコントロールしなければならないのは、先ほど述べた4つの要素です。

①バランスの整った食事
②十分な休養
③適度な運動
④心の健康
この4つが乱れていると、生態機能がうまく働かない要因となります。

①バランスの整った食事
食事はとても大切な行動であり、極端に偏った食事を続けていると、もちろん体に影響が出てきます。それは体の病気という形であったり、うつなどの精神疾患だったり、人それぞれです。(偏食の例:同じものを毎日多量に食べ続ける、適正以上のカロリー摂取、反対に極端なダイエット・拒食など)
極端な偏食ではないとしても毎日の少しずつの積み重ねは怖いもので、例えば甘いものが好きな人が糖尿病になりやすかったり、味の濃いものを好む傾向にある人の血圧が高めだったり、ということが挙げられます。これらを避けるには、自分の体に対する適正量や食事バランスを知り、食事を調整していく必要があります。
また、バランスの取れた食事をすることは、免疫力UPにも繋がります。

②十分な休養
日本の有給休暇取得率は、主要19カ国との比較で、3年連続最下位となっているのをご存知でしょうか?
旅行サイト運営会社のエクスペディア・ジャパンが調査した結果よると、日本人の有給休暇取得率は約50%とされています。https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2018/
OECD(経済協力開発機構)の統計によると日本人の労働時間は韓国やアメリカよりも短いとなっていますが、これには時間外労働が含まれていません。https://www.globalnote.jp/post-14269.html
厚生労働省による「我が国における時間外労働の現状」https://www.globalnote.jp/post-14269.html
十分な休養が取れていないと翌日の活動に影響し、食事が疎かになったり運動の時間が取れなかったり、最悪の場合だとストレスによる過労死などに繋がります。自分の体と向き合い、SOSが出ているときにはちゃんと休養を取るなど、労ってあげてください。

③適度な運動
実は運動することは筋肉量を増やすだけでなく、様々なメリットがあります。
<例>
・血圧や血糖値、コレステロール値の改善
・死亡率の低下
・骨折などの怪我を負う率の低下
・抑うつ症状などが減る
・認知機能の低下防止 など

そのため、WHO(世界保健機関)は全成人に対し、1週間に150分以上の中等度の運動を推奨しています。中等度の運動とは、軽く息が上がる程度(早歩き、軽いラケットスポーツ等)です。

④心の健康
従来の栄養学は、①〜③までの話をされることがほとんどですが、ホリスティック栄養学の考え方では、心の健康にも着目しています。
事実、抑うつ気分のときにバランスの整った食事を手作りして食べようと思えるでしょうか?ジムで運動しよう!となるでしょうか?…なりませんよね。
極度の緊張状態になるとお腹が痛くなったりしたことがある方もいらっしゃると思います。これは腸脳相関といい、腸と脳は互いに関係しているという考えなのですが(詳しくは後の記事で書きますね)、ここからも分かるように、心の健康と体の健康は密接に繋がっているのです。

アメリカではカウンセリングに通うことが当たり前のこととして、生活に根付いているそうです。日本ではまだまだそういった場所が少ないので、1日10分でもいいから、自分で自分の機嫌をとる意識が大切ですね。

3、肉体的にも、精神的にも、社会的にも“健康“を目指そう

バランスの取れた食事をする、休養をとる、軽い運動をする、ストレスを溜め込まない。こういった普通の生活を送れれば、自然と恒常性や免疫システム、自然治癒力は高まってきます。病気になりにくくなり、メンタルも安定し、社会貢献ができる。当たり前の生活を丁寧に行うことが、良いサイクルを生み出していきます。

次の記事からは、個人にあった適正栄養量の考え方や、体の仕組みや代謝・吸収のこと、脳腸相関や時間栄養学、サプリメントやオーガニックについてなど、様々なことをお伝えしていけたらと考えています。
こんなことが知りたい!というリクエストなどあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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