☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆・イラスト・コメント返信:水澤聖子☆彡
はじめに
よく寝たはずなのになんか体がだるいな。糖質もたんぱく質もお野菜もバランスよく食べてるのに、なんかしんどいな。そんなふうに感じることがよくありました。なぜだか理由がよくわからないまま、「まあ疲れてるだけか」と見て見ぬふりを続けていたのですが、ある時読んでいた本で「だるさは鉄分不足のせいかも」という文字を見て、衝撃を受けました。鉄分不足だなんて考えてもいなかったからです。
女性は、生理がくると鉄分や貧血についてとても意識すると思うのですが、それ以外の時期にも意識をしている方って(元々貧血持ちです、という方もいらっしゃると思いますが)どのくらいいるのでしょう?
今日は鉄分と体の不調について書いていきたいと思います。
鉄分不足で不調?
鉄分不足の症状
鉄分が不足すると、体のだるさの他にも、イライラ、落ち着かないといった症状や、抜け毛・髪のパサつき、肌荒れなども引き起こします。もちろん鉄分不足だけが原因ではない部分も多いですが、鉄分不足はこれらの要因になり得ます。
鉄分不足で不調、なぜ?
でもどうして鉄分不足=不調に繋がるのでしょうか?
体の各細胞が元気でいる(呼吸する)ためには酸素が必要です。その酸素を運んでいるのが赤血球。赤血球の主体はヘモグロビンで、ヘモグロビンと酸素はくっついたり離れたりしながら、酸素が不足している場所へ運んでいきます。このヘモグロビンを作るのに鉄分が必要です。
なので摂る鉄分が不足すると、酸素を十分に運ぶことができなくなり、いわば酸欠状態に陥るのですね。酸欠になった臓器は元気に働けず、体の不調として現れます。
鉄分の摂取目標は
日本人の食事摂取基準2020年版では、鉄の1日摂取推奨量を以下のように定めています。
男性:7mg~11.5mg
女性:10mg~14mg(月経ありの場合)
6mg~10mg(閉経後)
※年齢によって差があります
これに比べて、2019年の国民健康・栄養調査での鉄の平均摂取量は、男性20代で7.4mg・女性は6.2mgと報告されており、大幅に不足していることが明らかです。
鉄分には2種類ある!多く含まれる食品は?
鉄分には実は2種類あります。
1、ヘム鉄
ヘム鉄は主に動物性食品に多く含まれていて、吸収しやすい形のもの。約10〜20%が吸収されます。レバーや牛赤身肉、魚(カツオやマグロ、イワシ)、赤貝など。鉄分補給!と考えたときにまず思いつく食品が多いですね。特に肉はより赤い部分の多いもの、魚は血合の部分に鉄分が多いので、買い物時にも要チェックです。
2、非ヘム鉄
非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれていて、吸収率は約2〜5%です。野菜(小松菜やほうれん草)や海藻(ひじき)、豆類(納豆、あずき、大豆)に多く含まれています。
鉄分の吸収率を上げるには?
「吸収されやすい」とされるヘム鉄でも、吸収率が10〜20%しかないとは…驚きです。頑張って食べても、そのままではほんの一部しか吸収されない。鉄分不足になりやすいのも納得です。
少しでも効率よく、吸収率を上げたいところですね。
「ビタミンC」や「クエン酸」つまり酸っぱいものを一緒に摂ると、鉄分の吸収率がアップすると言われています。
また、たんぱく質も鉄分の吸収率を高めてくれるとされています。ほうれん草を単体で炒めるだけでは鉄分はあまり摂れませんが、例えば牛の赤身肉と一緒に炒めれば牛肉のヘム鉄も摂れますし、ほうれん草の非ヘム鉄の吸収率も高めてくれて一石二鳥です!
鉄分吸収を阻害する食品は?
鉄分吸収を阻害してしまう食品もあるので注意しましょう。代表的な3つをご紹介します。
リン酸ナトリウム
肉加工品(ハムやウインナー)、インスタント食品、スナック菓子等に多く含まれます。
タンニン
紅茶やコーヒーに含まれます。食事中に一緒にたくさん摂るのは避けたほうが、鉄分の吸収率は上がります。
不溶性食物繊維
おから、ぬか、玄米などに含まれます。鉄分を一緒に排泄してしまうので、鉄分吸収率を上げたい場合は玄米よりは白米を選んだほうが良いですね。
造血ビタミンのおはなし
文字通り、血(赤血球)を造るのに必要なビタミンをたくさん摂ることもオススメです。ビタミンB12や葉酸がこれにあたります。
ビタミンB12
主に動物性食品に含まれます。鉄分の多いレバーにはビタミンB12も多く含まれています。また、卵黄、貝類(あさりやしじみ、はまぐり、牡蠣)、海苔にも多く含まれます。ビタミンB12は酸化や光に弱いので、空気に触れないようにし、冷暗所に保存するのが良いですね。
葉酸
葉酸もまた、レバーに多く含まれています。その他には海苔や干しエビ、卵黄などに多く含まれます。
ビタミンB12や葉酸は水に流れやすい(水溶性ビタミン)かつ熱に弱いので、生でも食べられる食品はそのままの摂取がおすすめです。
鉄分、ビタミンB12、葉酸全てを多く含む食品がレバーなのですが、好き嫌いが分かれやすかったり、毎日食べるには取り入れにくい食品でもあります。レバーが食べられる方はもちろんおすすめですが、嫌いな方はさまざまな食品をバランスよく取り入れるのが良いでしょう。ご飯や汁物に海苔や海藻をちょい足ししたり、干しエビを混ぜた卵焼きや混ぜご飯なんかもおすすめです。
調理道具からも鉄分摂取!
調理の際に鉄鍋を使用するのもおすすめです。鉄鍋で湯を沸かすと、鍋の鉄分が溶出し、簡単に鉄分補給ができます。味や見た目、匂いには全く影響ないですよ!
鉄鍋は手が出しにくい…という方は、鉄玉子という商品(鉄でできた卵型やキャラクター型のもの)も販売されているのでチェックしてみてはいかがでしょうか。普段使用しているお鍋に一緒に入れて湯沸かしするだけなので、鉄鍋を買い直すより簡単でリーズナブルです♪
おわりに
貧血というと、めまいや立ちくらみ、血色が悪いといった症状のイメージの方が強いと思います。しかしもっと身近な体のだるさやイライラ、肌荒れなどの症状が実は鉄分不足のせいかもしれません。
鉄分を摂ることを意識して、元気な毎日を過ごしましょう!