☆彡監修:神田麻帆☆彡
☆彡執筆・イラスト・コメント返信:水澤聖子☆彡
みなさまこんにちは!いつも記事をご覧いただき、ありがとうございます。
この夏の大イベントだった東京2020オリンピック・パラリンピックが終わり、すっかり夏が過ぎ去った…という感じで腑抜けております(笑)
前回の記事では神田先生と対談をさせていただき、改めて、これまで配信させていただいた記事を振り返るいい機会となりました。
食事・健康・栄養というのはあまりにも生活に密着しているので、いろんな考え方があり、情報も溢れていますよね。「何を信じたらいいの?!パニック!」とならないように、読者の皆様にはぜひ基本をしっかり知ってもらえたらと思っています。
今日は、対談の中で神田先生に触れていただいた「時間栄養学」についてお話ししていきたいと思っています。
時間栄養学ってなに?
時間栄養学という言葉、栄養学に興味を持っていらっしゃる方なら一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
カロリーや、たんぱく質・炭水化物・脂質などのバランスを考える一般的な栄養学と比べ、「同じものを食べていても、食べる時間やタイミングで体への影響が変わる」という考えを持つのが時間栄養学です。ダイエットや生活習慣病の予防目的で取り入れられることも増えていますね。
時間栄養学の研究は昔から行われていますが、特に注目されるようになったのは、2017年のノーベル生理学・医学賞で「体内時計」が話題になった頃からではないでしょうか?
体内時計を調整するために特に重要な役割を持つのが食事と言われています。その食事を摂るタイミングや量・内容などの影響を考えるのが時間栄養学なのです。
サーカディアンリズム
私たち人間の体には、サーカディアンリズム(一般に、概日リズム・体内時計などと言われる)という、1日のリズムを調整する機能が備わっています。
わかりやすく、体内時計と呼び、話を進めていきますね。
体内時計は地球の自転よりも約10分長い、24時間10分程度だという研究がされています。(※様々な研究があり、24.5時間・25時間などという説もあります)
この24時間10分のリズムの中で、時間がくると空腹や眠気を感じたりし、またホルモンの働きで血糖値が低い時間帯や、栄養を吸収しやすい時間などというのもあります。
「たった10分の差?」と思われるかもしれませんが、1ヶ月続くと300分(5時間!)のずれが生じる。そうならないためにも、毎朝一定の刺激でリセットをするわけです。この刺激として有効なのが①太陽光②朝食、と言われています。
体内時計には脳にある親時計と、末端にある子時計というものの2種類があると言われており、相互に影響を与え合っています。
朝食は何時に何を食べたらいいか?
体内時計で調整されているホルモンの一つ、血糖値をあげるコルチゾールというホルモンは、朝5時ごろから上昇すると言われています。血糖値が上がってくると、相反するインスリンという血糖値を下げようとするホルモンが分泌されます。
このインスリンの分泌によって、体内時計はリセットされています。
コルチゾールが分泌され体が起きようとしているタイミングと合わせて朝食を摂ってあげると、インスリンの分泌は1回で済むため、体に無理な負荷がかからず、体内時計もリセットしやすいと言えます。
これを踏まえて考えると、朝食は6~7時に。遅くても8時までには食べるのが良いでしょうね。
朝食に摂る糖質は消費されやすく、朝のタンパク質は筋肉を大きくしやすいという研究結果があります。これから活動を開始する!というタイミングでもありますので、1日の食事量の分配を、朝3:昼3:夜4にできると尚良いです。
注意点が1つ。以前の記事でも書きましたが、空腹状態で糖質がどっと流入するとインスリンが大量に分泌されてしまい、太りやすくなります。食事の最初には、必ずクッションがわりになる野菜を、よく噛んで食べましょう。たんぱく質を添えることも忘れずに!
●6~7時には起床、1時間以内に朝食を摂る
●1日の食事の分配は朝食に重点を置き、糖質・たんぱく質・脂質をバランスよく
●食事の最初に野菜を
お昼~15時のポイント
BMAL1(ビーマルワン)という時計遺伝子がありますが、これは、食べたものを脂肪に変えるように働きかける遺伝子。このBMAL1の働きが特に鈍くなるのが10~15時頃と言われています。
掲載元:日経電子版ヘルスUPフィットネス
そのため「15時のおやつ」というのはとても理にかなっていて、昼食摂取後、少し活動して小腹が空いてきて夕食まで待てないかも…という中で、食べても太りにくいギリギリの時間と言えます。もちろん、食べない日と比べるとプラスのカロリー摂取になるので、内容や量は控えめにしたほうが良さそうです。
●おやつは15時までに!
夜の食事の注意点
夕食はどうしてもボリュームが多くなりがち。しかしよく考えてみれば、夕食後はお風呂に入って寝るだけ…消費をする暇がありませんよね。「そんなことわかってるよ!でも夕食が1番ゆっくりと手間をかけて作れるし、いろんなものが食べられるんだもの」という声が聞こえてきそうです(笑)
朝の食事の箇所で書いたように、1日の食事バランスの目安は朝3:昼3:夜4。夕食が少し多くても良いですが、例えば朝0:昼2:夜8のようなバランスにはしてほしくないのです。
そしてできれば夕食は、朝食から12時間以内に。つまり朝食を6~7時に摂る方は、夕食も18~19時ごろまでに済ませるのが理想です。
夜遅い時間にがっつり食べてしまうと、お察しの通り体重増加につながるだけでなく体内時計も乱れやすくなるので、どうしても夕食が遅くなる場合は軽食を摂るのがお勧めです。
たんぱく質・脂質は胃滞留時間が長く消化に負担がかかるため、遅い時間の摂取なら量は控えめのほうが良いですね。
また、カルシウムの蓄積は夕方以降最大になると言われているため、骨粗鬆症予防のためには夕食時にカルシウムを多く含む食品(小魚、乳製品、大豆製品など)を取り入れるのが効果的です。
●夕食は、朝食から12時間以内に
●18~19時が理想
●夕食のボリュームが多くなりすぎないように、朝3:昼3:夕4が目安
●カルシウムを多く含む食品を夕食に
まとめ
いかがでしたでしょうか。
総カロリーやバランス、運動などももちろん大切で、むしろそれがあっての時間栄養学だと私は考えますが、体のON・OFFに合わせたタイミングで効率よく栄養摂取すると効果的だということもまた事実。
全てのビタミンやミネラルについて、効果の高い時間を考え出すととっても大変な食事管理になります。
せめて各食事を食べる時間帯やバランス、その理由などを理解し実践していただけると、健康に繋がるのかなと。
明日から少しずつ取り入れてみてくださいませ。